地震の揺れで建物にも多くの被害がでます。「建物自体が崩れたり」「物や割れたガラスの落下」「家具の転倒(てんとう)」「ブロック塀が倒れたり」します。
特に高い建物付近は非常にキケンです。
地球には重力(じゅうりょく)があり、物の落下は高さが高いほどスピードが上がります。これを『重力加速(じゅうりょくかそく)』といいます。重力加速は1秒につき9.8m/s(メートル秒)ずつ加速していきますので、たとえ小さい破片でも高い位置からだと大けがを招くおそれがあります。
避難(ひなん)の際には、手荷物で頭を守ったり、建物の側を歩かないなど気をつけたいですね。
1995年の「阪神淡路大震災(はんしんあわじだいしんさい)」では、戦後最大級の直下型地震ということもあり、家屋の倒壊で大きな被害がでました。
Photo 松岡明芳
阪神淡路大震災で亡くなられた約80%は建物の倒壊が原因とみられています。その倒壊のほとんどが日本瓦(にほんがわら)を使った瓦屋根(かわらやね)の家屋だったので、一般的には「瓦の重さが問題」と判断されていますが、重要なのは「元々構造的に問題のある家屋に瓦屋根が多かった」という事です。実際、筋交い(すじかい)を多く入れてある木造住宅においては耐震性も十分にありました。
「重い屋根は危ないから軽い屋根にする」というという解釈(かいしゃく)は別のキケンを招きかねませんので、将来、太陽光発電を設置する可能性がないか?など、用途・目的に応じてしっかり吟味(ぎんみ)する必要があります。
建造物が地震に備える手段として主に「耐震(たいしん)・制震(せいしん)・免震(めんしん)」という建築構造があります。
地震に抵抗できる強固な金物や筋交いを用いて強度を上げ、倒壊を防ぐ工法。一戸建て・低層マンション向けに適用でき幅広い。ただし、建物内部へ震動がそのまま伝わるので家具の転倒防止対策が必要。
柱や壁にバネを用いた装置「ダンパー」を取り付け、揺れを吸収させる工法。軽く柔軟性のある建物や塔状に有効。内部への震動は伝わりにくい。
建物と基礎の間に免震装置を挟むことで震動を伝えない仕組み。重く剛性の高い建物やビルに最適。建物そのものを揺らさない事で震動に強い。ただ非常にコストが掛かる。
地震の後は土砂災害への注意が必要です。地震の影響(えいきょう)で地盤がゆるんだり、崖(ガケ)が崩れるキケンがあります。下のような現象が起こっていないか注意しましょう。
小さな地震であっても山や崖の中では何が起こってるか分かりません。特に大きな地震の際には小雨であっても要注意です。
液状化とは、地震の際に地下水位の高い「砂地盤(すなじばん)」が振動により液体状になる現象です。これにより比重の大きい構造物が埋もれて倒れたり、地中の比重の軽い構造物(下水管等)が浮き上がったりします。
海岸や河川のそばの比較的緩い地盤、地下水位の高い砂地盤(すなじばん)、たとえば埋立地などで液状化しやすいと言われています。
実際は、地表付近の含水状態の砂質土が、地震の震動により固体から液体の性質を示すことにより、上部の舗装や構造物などが揚圧力を受け破壊、沈み込みを起こすものである。「流砂(りゅうさ)」とも呼ばれていた。発生する場所は砂丘地帯や三角州(さんかくす)、港湾(こうわん)地域の埋め立て地などがほとんどであるが、近年の研究では、旧河川跡や池跡や水田跡なども発生しやすい地質であることが分かってきた。近年、都市化で該当地域が多いことで被害拡大の影響が懸念される。
地盤(じばん)は「砂粒子」と「間隙水(かんげきすい)」と「空気」からできています。地震により砂粒子が離ればなれにされ水に浮いた状態になります。(砂粒子は土粒子とも解釈されるようです) 地盤が緩くなることで構造物沈み、地面に水が湧き出します。
波打ち際を歩くと地面が沈み海水が出てきますが、これも一種の液状化と言えます。